”人は変わらないから”『移動する人はうまくいく』(長倉顕太 著)書籍のレビュー


■「人生を変えたい」と思っても、意思の力だけではなかなか変えられない。

人は「人生を変えたい」と思っても、意思の力だけではなかなか変えられない。
それが現実だ。

では、どうすれば人生を変えられるのか?
その答えは――「環境を変えること」から始めること。

世の中の多くの自己啓発書やセミナーでは「習慣を変えよう」「行動を変えよう」といったことがよく言われる。しかし、実際には、それを継続できる人は1000人に数人程度だろう。

だからこそ、まず優先すべきは「環境の変化」だ。
環境さえ変えれば、行動や習慣は自然と変わっていく。
むしろ、変えざるを得なくなる。
(意思の力は頼りないが、環境の力は強力だ)

できるだけ、自分の目指す将来にとって「都合のいい環境」に身を置くことを意識したい。
目標とする人の近く、望む仕事の場、刺激をくれる場所などがそれにあたる。

柔軟に環境を変えられる人は強い。ひとつの環境が合わなくなっても、他に選択肢を持っているからだ。


■「安定」という幻想と定住の罠

人間はある時代から「定住する生き物」になった。
定住=安定。しかし、同じ環境に長くとどまることで、そこにヒエラルキー(貧富の差)が生まれ、行き詰まりやすくなる。

同じ場所で長く停滞していると、そこでは“つまらない問題”が発生しやすくなる。 たとえば、いじめや足の引っ張り合いのような、実際には取るに足らないような問題だ。
おそらくその原因は「退屈」だ。退屈な環境にいると、人は暇を持て余し、他人や自分に対してネガティブな感情を向け始める。

人は退屈な人生に嫌気がさしているにもかかわらず、「安定」を求める――
この矛盾した生き物なのだ。

日本で人気の職業としていつも上位にくるのが「公務員」。
これも、突き詰めれば安定を求めた結果だ。
会社員になるのも、同様だろう。

しかし、実はこの世界に**「絶対的な安定」など存在しない。**
何が起こるか分からない時代においては、
「安定を求めること」自体が、最大のリスクになり得る。

一か所に根を張りすぎると、環境の変化に対応できず、身動きが取れなくなる。


■「移動」こそが選択肢を増やすカギ

著者が繰り返し伝えているのは、
「移動し続けること」=「複数の選択肢を持つ」ことの重要性。

一つの環境にしがみつかず、変化を恐れずにいれば、それ自体が最強の戦略となる。

もちろん、いきなり「退職」や「引っ越し」をするのは現実的にハードルが高い。

だからこそ、もっと小さな「移動」から始めれば良い

  • いつもの仕事場を変えてみる
  • 思い切って1泊2日の小旅行に出てみる
  • 慣れた場所ではなく、「知らない場所」を選んでみる
  • 「やったことがないこと」を選んでみる

そうした行動が、
「移動」→「感情の変化」→「行動の変化」
という流れを生む。

その際に「不安」が湧くのは当然のこと。
それは、脳の反応にすぎない。
汗をかくのと同じ現象だ。汗を拭うように、不安も受け流してしまえばいい。


人生を変える一歩は、「どこかへ動くこと」。
遠くへ行く必要も、特別なことをする必要もない。

何でもいい。
まずは、小さな「移動」から始めよう。

その一歩が、人生に深みを与え、魅力的な人間へと導いてくれる。

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